革の仕上げ方法
なめし加工によって皮は革へとなりますが、当然天然ものである動物の皮をいただいてるということもあり、キズや繊維密度が均一ではありません。そこで、繊維の均一化やキズ、強度を補うために、なめしの後に革を仕上げる必要があります。この仕上げにより革のもつ豊かな表情を作り上げていくのです。
まず、仕上げ工程前に染色や加脂をおこないます。
1.革に染色
染色には主に2つの方法があります。
- 顔料
- 染料
革の内部まで染み込ませる方法です。顔料より耐久度が低く色落ちはしやすいですが、革本来の自然な風合いを楽しめるのが特徴です。エイジングを楽しみたい方にお勧めです。
2.革を柔らかく
こちらも2つの工程があります。
- 加脂
革に油剤を加える工程です。これにより、革に柔軟性、光沢、耐水性など様々な効果を施すことができます。
- 空打ち
革の仕上げの種類
色合いを補強する加工
素仕上げ
ほとんど着色剤や仕上げ剤を使わない工程であり、 革本来の肌さわりや質感を味わえます。
アニリン仕上げ
染料工程を施した革に、合成染料であるアニリン染料で薄くコーティングした仕上げです。革の銀面をはっきりとさせ、透明度の高い光沢感を作り上げます。
セミアニリン仕上げ
アニリン仕上げだけでは補い切れなかった、革の傷や色の均一化を行うための仕上げです。顔料を少しだけ塗布して仕上げます。高級感や耐久性が向上します。
顔料仕上げ(カバーリング仕上げ)
顔料を革の表面に覆うように塗布し、コーティングしていきます。色合いの透明度は落ちますが、色彩豊かな色やビビットな色を出すことができます。また、汚れや防水性に優れているのも特徴です。
耐久性を上げる加工
カゼイン仕上げ
乳成分の主要タンパク質であるカゼインをメインに、革に塗布し、革本来の銀面の美しさや艶を際立たせる仕上げ方法です。
ラッカー仕上げ
硝化綿を主に仕上げ剤として使い、革に薄くスプレーすることで光沢や耐水性、耐摩耗性を持たせます。革の風合いを損なうことがない仕上がりになります。
ウレタン仕上げ
ポリウレタンを使いラッカーよりも強く塗布していく仕上げです。革自体の風合いは損なわれますが、エナメル仕上げや色を均一にする時に多く使われます。
機械的な処理加工
摩擦(グレージング)仕上げ
ガラスやメノウを利用して、ローラーにより強く摩擦をかけ、光沢を出す仕上げ方法です。なめらかな質感と上品な光沢感を引き出してくれます。
アイロン仕上げ
アイロンがけで行う仕上げです。革の仕上げ工程で最もポピュラーな方法でプレート仕上げとも言います。これにより、革の銀面に艶と滑らかさを加えることができます。
型押し(プレス)仕上げ
凹凸のある金属板を押し当てる仕上げ方法です。革の銀面にあるキズやシワなどの欠点を補う意味合いで使われます。